明治28年8月脱稿

評判酌婦「菊の井」の“お力”は、「これが一生か、一生がこれか、あゝ、嫌だ、嫌だ、嫌だ」と、生の方向が捉えきれずに日を送る。裏長屋住まいの“お初”は、お力故に全財産を失った布団屋“源七”の女房。「お力一人に命をもやる心か。浅ましい、口惜しい、愁らい人」との心中は語らず、涙を呑み込み、夫を支え、息子・太吉郎の成長が望みの日々。女性二人の切ない想い、儚い愛を描く。

演目のご案内

  • 闇桜
  • 大つごもり
  • にごりえ
  • 十三夜
  • わかれ道
  • われから